昨今の建設事業に対する社会的要求は、従来の量的整備から投資効果の重視、コスト縮減、環境配慮などに主眼をおいた質的整備へと変化しています。また、近年、水産物に対する安全・安心を主眼とした水産衛生管理対策や、少子高齢化による就労環境改善、異常気象や巨大地震津波に対する沿岸域の防災・減災対策等への社会的ニーズが高まっています。
当社は常に関連情勢やお客様のニーズに目を向け、効果的な社会資本整備へ向けた設計の取組みとして、最新の設計技術、利用・施工への配慮、コスト縮減等を踏まえた柔軟かつ斬新な発想で課題解決を図っていきます。
「作業環境の清潔保持」(衛生管理)、「水産物の鮮度保持」(品質管理)を目的とし、水揚げから出荷まで一貫した衛生管理体制を整備した施設です。岸壁に屋根を設けることで、水揚げされた魚を日射しや鳥害などから守り、水産物の品質向上を図ります。
漁船の故障時の修復作業や、冬期の流氷接岸による漁船の損傷を防ぐため、漁船を海から陸へ揚げるための施設です。近年の漁船の大型化に対応するために、クレーン式の上架施設等も導入されています。
津波とともに流れる漂流物だけを捕捉し、漂流物の衝突・散乱により発生する2次災害の抑止を目的とした減災施設です。
東日本大震災では、水門・陸閘等の操作従事者が多数犠牲になったことから、操作従事者の安全確保のため、現場操作が不要となるシステムの導入が進められています。フラップゲートは、津波の浸水により起立するゲートのため、地震発生時に電源喪失した場合でも作動するゲートです。積雪寒冷地でのフラップゲート導入にあたり、積雪時の動作確認のための実証実験や地元説明を行いました。
積雪寒冷地における稼働実証実験(4倍速)
協力:日立造船株式会社
3DCADにより作成
海岸沿いに、離岸堤や護岸を整備することで、波浪による浸食や越波から、海浜地および、背後地の道路や住宅を防護するための施設です。
近年、異常気象による災害が頻発し、復旧工事によるコストや工期等が負担になっています。ソイルセメント工法は、現地発生砂にセメントを混合して堤防材料に用いることで、コスト削減や施工期間短縮化の実現が期待されています。このソイルセメント工法を、従前、コンクリートやブロックで施工されてきた海岸保全施設への適用について検証するため、現地海浜砂を用いたソイルセメントによる実物大の堤防型供試体を作成し、コスト、施工期間に加え、強度、積雪寒冷地における耐久性の確認及び経過観測を行いました。
波の影響を小さくした施設に、人工的に砂浜を作り、小さな子供でも安全に遊泳することができるよう設計された施設です。海水浴利用の安全確保や水質保持等を考慮し設計を行います。
函館市公式観光情報HPより
磯焼け対策として、魚礁ブロックによる藻場造成を目的としています。
魚礁ブロックは、水産生物の隠れ場・休憩場・産卵場・餌場となるため、様々な海藻や魚が生息するようになります。
周辺施設や景観への配慮が必要な箇所において、地形状況を踏まえ施設配置や景観がどのようになるか検討することが可能です。3DCADによる可視化により受発注者や利用者の理解を深め、協議・合意形成の迅速化にもつながります。
観光利用(宿泊・スキューバダイビング)に配慮した施設整備
3DCADにより施工手順を可視化しました。岸壁や屋根施設、付帯構造物及び周辺施設の取付形状の確認や施工手順の妥当性について3Dで確認することができます。
漁港屋根付き岸壁の施工手順
複数の構造物との取付確認
ボックスカルバートと擁壁の取付確認
護岸と屋根施設基礎の取付確認
3DCADを用いたケーソンの配筋図を作成例です。鉄筋の干渉有無等、配筋の妥当性を3Dで可視化し確認することが可能です。
3次元点群測量データ及び3DCADを用いた泊地浚渫の土量算出例です。3次元モデルを作成することで数量算出の効率化や、形状の把握も容易になります。
発注者と連携し、BIMCIMの研修会を開催しました。研修会では3DCADを用いた消波ブロックの体積算定を行いました。
設計地震動に対する地盤の液状化を考慮した2次元動的変形解析を行い、施設の残留変形量や部材発生応力等を算定します。必要に応じて地盤改良などの液状化対策の実施等を検討します。
漁港係留施設の検討例
近年増加している地震・台風などの災害により被災した施設の早期復旧を目的とし、現況測量、被災メカニズムの推定及び設計を行います。
3次元地形データ及び3DCADを用いてダム湖の堆砂量及び堆砂箇所の検討例です。推定された堆砂量をもとに排土計画を検討し、掘削範囲等を決定します。
ダムの堆積土砂量の算出
受注年度 | 業務名 | 発注者 |
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2022 | 美国漁港外2港 施工検討業務 | 国土交通省 北海道開発局 |
牛滝地区漁村再生交付金事業設計業務委託 | 青森県 | |
八森地先漁場 水産環境整備業務委託 | 秋田県 | |
崎浜漁港水産生産基盤整備(南第2防波堤ほか)調査設計業務委託 | 岩手県 | |
大船渡漁港水産流通基盤整備(-7m岸壁ほか)調査設計業務委託 | 岩手県 | |
気仙沼漁港梶ヶ浦防波堤外詳細設計業務委託 | 宮城県 | |
東部地区漁港施設点検調査業務委託 | 宮城県 | |
令和4年度小笠原諸島港湾計画基礎調査委託 | 東京都 | |
令和4年度利島港護岸(防波)(西)(幹部改良)設計 | 東京都 | |
友知漁港海岸外高潮対策工事構造実施設計委託 | 北海道 | |
イタンキ漁港水産生産基盤整備工事構造設計 | 北海道 | |
漁港施設災害復旧事業施工方法再検討設計業務委託 串浜漁港 外1 | 千葉県 勝浦市 | |
2021 | 鳥取港千代地区防波堤(第1)(西)施工検討業務 | 国土交通省中国地方整備局 |
秋田港係留施設耐震改良構造検討業務 | 国土交通省 東北地方整備局 | |
庶野漁港施設整備検討その他業務 | 国土交通省北海道開発局 | |
東青地区(一本木漁港)水産物供給基盤機能保全事業設計業務委託 | 青森県 | |
三八地区(小舟渡漁港)水産物供給基盤機能保全事業測量・設計業務委託 | 青森県 | |
椿(船川港)漁港地区 水産物供給基盤整備業務委託 | 秋田県 | |
銚子漁港水産流通基盤整備委託(黒生地区概成に向けた施工検討) | 千葉県 | |
砂の浜海岸補修詳細設計 | 東京都 | |
有珠漁港海岸整備連携工事構造実施設計 | 北海道 | |
令和3年度 漁港施設災害復旧事業測量設計業務 | 宮城県東松島市 | |
2020 | 新潟港(西港地区)航路泊地付帯施設施工方策検討業務 | 国土交通省 北陸地方整備局 |
令和2年度下関港係留施設検討業務 | 国土交通省 九州地方整備局 | |
令和2年度 衣浦港防波堤付属物等撤去細部設計 | 国土交通省 中部地方整備局 | |
東浦漁港外1港施工検討等業務 | 国土交通省 北海道開発局 | |
磯崎漁港災害復旧調査設計業務委託 | 宮城県 | |
銚子漁港水産流通基盤整備委託(-7.5m岸壁(黒生)基本設計その1) | 千葉県 | |
令和2年度伊豆諸島港湾整備事業計画等検討調査委託(その2) | 東京都 | |
大森ふ頭用地造成事業 護岸設計業務委託 | 秋田県 | |
中の川漁港水産生産基盤整備工事構造実施設計委託 | 北海道 | |
飯子浜漁港外災害復旧測量設計等業務委託 | 宮城県女川町 |