技術サービスServices

水産土木研究所

水産土木研究所は調査、測量、解析等コンサルタント業務を最先端の技術や機器を用いて迅速で正確、安価に行えるよう実践的な技術開発に取り組んでおります。

所長紹介

中山 哲嚴

元独立行政法人水産総合研究センター・水産工学研究所・部長

アルファ水工コンサルタンツ 執行役員 シニアフェロー


Myanmar Maritime Universityでの特別講義

Myanmar Maritime Universityでの特別講義
主な論文
  • 2017 鹿島灘・九十九里浜沿岸域における流動数値モデルの検討

  • 2005 那珂川沿岸河口域における水質・底質分布と一次生産構造(海岸工学論文集)

  • 2004 鹿島灘北部海域の一次生産に及ぼす那珂川の影響(海岸工学論文集)

ページの先頭へ

開発事例・予定

  • 簡易な音響計測器を用いた水面変動・砂面変動計測

  • 安価なカメラの多数利用による魚類モニタリング

  • 魚類の音響行動追跡

  • ドローンを用いた高解像度の海浜植生、藻場分布の把握


簡易魚群探知機を使った地形変化調査

スマートフォンと3Dカメラを用いた漁船の三次元点群データ

コラム

最近の魚群探知機(レジャー用)について

皆さんこんにちは中山です。

コラムを掲載することになったきっかけは、私がこれまで行ってきた研究などを中心にホームページで紹介したらどうかというものでした。しかし、これではあまり面白くないと考え、弊社が主分野とする海関係調査技術の新たな展開を模索するという視点から、スポーツフィッシング用で比較的安い魚探の最新事情や観測データのリアルタイムモニタリングの展開などを取り上げて、あまり専門的にならず、紹介することにしました。私自身音響や電子機器の専門家ではないので勉強しながら、取り組んで行こうと思います。

まずは初回としてスポーツフィッシングで使われている魚探の最新事情を取り上げて紹介します。皆さんすでにご存知かと思いますが、日本でもスポーツフィッシング(遊漁)は根強い人気があります。海外でも、大変人気があります。釣りびとにとっては、大きな獲物を沢山取ることが大きな目的になると思います。このためには魚の所在、魚の行動、魚群量などの諸情報が第一に必要なことです。釣果を上げるためにこれらの情報を正確に把握するために結構な金額を投資します。直接的なツールとして魚群探知機があります。魚群探知機は当初高価でとても個人で購入できるものではなかったのですが、超音波の受発信装置であるトランスデューサや処理装置等の量産化と前述した釣りニーズと相まって、様々な釣りシーンに合わせた魚探機種が近年急速に普及し始めています。

一番手軽なものとしては、野球ボール程度の魚探です。アマゾンなど通販サイトで「魚探」を検索すると沢山出ています。これらは釣り竿、釣り糸とセットにして、任意のポイントに投げ入れて魚を探索するものです。この魚探はWifi、bluetooth機能がついていて、スマフォ等と接続して水面より直下の様子を見ることができます。殆どの機種が超音波の周波数を2種類以上選択できます。GPSが内蔵されて、位置も把握できる機種もあります。最近では、更に進化して広帯域魚探(チャープ:CHIRP、次号で原理を紹介したいと思います)もあり、より分解能が上がった機種も出始めています。

私のところにはこの機種でdeeper_pro、deeper_chirp+の2機種を所持しています。このシリーズでは新たにもう一つ機種が追加されています。いずれも5万円以下で購入できます。これらの機種は https://deepersonar.com/jp/ja_jp/home-jp で紹介されています。連続使用時間は6~15時間(機種によって異なる)です。スマフォに接続し、データ収録後クラウドにアップロードすると、タイムタグ、GPS位置情報、計測水深、水中反射強度などのデータをCSVファイルで得ることができます。時間、位置、水深は我々海を仕事にしている者にとっては大変有益な情報です。私は漁港内の水深分布をこれで計測しています。この魚探は小さく、釣り糸で引張り移動させるので動揺が生じます。これを適切に処理してその時の潮位を補正して水深分布を求めています。また、防波堤、岸壁の基礎部など水深変化の激しい領域では水深が大きく変動しますので、注意が必要です。この魚探は岸壁、防波堤から投げ込みで計測できますので、船は必要ありませんし、多くの船が係船していても、その横で計測可能です。逆にかなり陸から離れた領域や波浪が激しい領域では利用が難しくなります。私が計測して事例を図に示します。波除堤間の水深が深くなっていたり、構造物周辺の基礎、岩盤などの浅い領域も鮮明に現れていたりすることがわかります。


Deeperの水深計測時系列(このデータにはGPS情報も含まれている)


Deeper計測データを処理した水深分布例
自ら移動しながら、魚探計測する機種もあります。調査目的の機種もありますが、ここではレジャー用のひとつであるPowerDolphin https://www.powervision.me/jp/product/powerdolphin を紹介します。この機種はリモコンで操作し、移動しながら、魚探で計測します。加えてカメラがついているので水面下の様子も撮れます。前述の魚探と動揺で、クラウドにデータをアップロードし、時間、位置、水深情報を得ることができます。価格は10万円程度です。ホームポイントを設定すると最終的に帰ってきます。また、スマフォで航行領域を設定すると自動的にその領域内を走行し、データ取得する機能もあります。リモコンの最大到達範囲は約800mとあります。欠点と言ってはなんですが、ゴミなどがスクリューに絡んだりして、動かなくなるので、このような場合には回収する必要があります。少し工夫することでゴミの絡まりは低減できるかもしれません。私のところにはありませんが、一緒に仕事をした方が所有していたので、利用した経験があります。全長23cmほどしかないのでやはり動揺が比較的大きいので、使用条件をしっかりした上で、データ処理する必要があります。制約条件はあるものの大変便利なものです。

さて、ここからは船などに搭載する最新のレジャー用魚探です。皆さんはサイドスキャンソナー、ナローマルチビームなどの比較的高価な音響装置をよく知っていることと思います。また最近では音響スキャナー・カメラなどが利用されていることもご存知かと思います。これらの諸技術が今やスポーツフィッシングの最終兵器?として普及し始めています。魚をピンポイントで狙うものです。それが3Dソナーです。高度で高価なものもありますが、100万程度かそれ以下で販売しているものが出ています。レジャーを対象としたものでは、GARMIN、Humminbird、Lowrance and Simrad 、Raymarineなどの海外のメーカーが販売しています(FURUNOもあります)。https://www.sportfishingmag.com/find-fish-with-3d-live-sonar-and-all-around-imaging/

原理等については次回紹介するとして、特徴はかなり領域的に広い領域を海底、魚類、海藻等を3次元的に捉えることができるということです。使用周波数が比較的高く、使用水深が限定されますが、3次元的・リアルタイム的に計測できることが特徴になっています。ターゲットの魚の近くに釣り糸をたらして、それに対する魚の行動をトラッキングして合わせるわけで釣り人にとっては最終兵器に近いものです。トランスデューサの種類も用途によってかなりあります。中にはサイドスキャンタイプのトランスデューサ自体を機械的に回転させるものもあります。

これらの機種は、もちろん所有していません。が、防波堤・岸壁の周辺の地形計測や平面的な地形把握(例えば防波堤周辺の洗掘状況)などには大変有用ではないでしょうか?計測器の設置・撤去、捜索などにも大変有効ではないでしょうか?魚礁の蝟集魚群計測にも効果を発揮すると思います。

下記に一部のyoutubeによる紹介があります。GARMINばかりですが、その他多くの例があります。youtubeで、「3D sonar」を検索するとたくさん出てきます。

海洋測器関係はレジャー、漁業等に比較して需要が少ない上、精度等が要求されるので必然的に価格が高いものが多いです。しかし、最近のレジャー用機器もそれなりに高度になっており、工夫すれば大変有用な海洋各種情報を得ることが可能であると考えてられます。